むぎょうの受験体験記

むぎょうの受験体験記

浪人生活を記録していくブログです。東大理一志望。

10/16(水) 地球上に太陽を創る

※今日の記事は、将来の目標を探ってきた経過報告みたいなモノです。

久しぶりの長文。最後の方は物理の話ばっかです。

 

浪人生だというのに、僕は将来の夢を持つどころか学部さえも決めれずにいます。

夏休みのある日、そんな僕に父は言いました。

地球温暖化について取り組んでみたら?」と。

 

その時父は会社の方針でeco検定の勉強をしていたので、環境問題に注目していたのでしょう。

僕はそれを勧められて、正直嫌だなぁと思いました。

だって上の世代が好き勝手にやった尻拭いをするのって少し癪に障るし。(僕は「二酸化炭素の排出が色んな影響を及ぼした結果、温暖化が起きている」っていうスタンス。まあ別の意見もあるだろうけど、ここでは無視)

ですが地球温暖化の影響による気候の変化が既に起きていることを実感しているのも事実。

先週本州に直撃し大規模な水害をもたらした台風19号も、地球温暖化による影響だという意見があるそうです。

 

この温暖化ついて、つい最近ニュースで取り上げられた人物がいますね。

16歳のスウェーデンの少女、グレタ・トゥーンベリさん。

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世界中のデモのキッカケになり、国連で怒りのスピーチを行ったことでも有名です。

 

彼女は学校を休んでまで行動に移し、それによってついに世界中の人々を動かしてしまいました。

彼女の見据える目標はもっと先にあると思いますが、一方で僕はただ部屋でイヤイヤ言ってるばかり。

彼女の勇気ある行動に驚いたと同時に、自分が如何に無責任か、これでは彼女が批判する残酷で汚い大人達と変わらないじゃないかと、恥を知りました(´・ω・`)

 

閑話休題……

 

目先の問題である温暖化とは別に、夏休み以降僕は世界と日本のエネルギー事情について興味を持ちました。

世論は火力発電よりもクリーンで再生可能なエネルギーを求めているにも関わらず、日本は逆方向に進んでいる節があります。

国内だけでなく海外にまで新規の石炭火力発電所を作ったりと。

当然ですがこれに対する世界の反応は冷たいものです。

 

僕が初め日本のエネルギー問題について考えたとき、自前で電力の安定供給できないのがネックだと思いました。

いつまでも資源を輸入して電気を発電していては、高コストだし色々不都合ですから。

そこで目を付けたのは「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレート

この資源ならば日本の海底にもあり、メタンハイドレート(以下MH)の実用化について日本は(エネルギー関連では珍しく)世界のトップにいます。

 

しかし実用化に向けて問題は色々あります。

まず1つとして採掘コストが高すぎること。

MHの分布は偏在してるのに加え、海底から採るには高い技術力とコストを要します。

それなら石油や石炭を輸入したほうが安いと言われてるほどです。

 

2つ目として二酸化炭素を排出してしまうこと。

MHはメタンと水でできた物質に過ぎないので、石油・石炭ほどではないけど燃やせばCO2が排出され地球温暖化の要因になりえます。

 

しかしMHを使えばエネルギーを自給自足できるのも事実。

いざというときのために開発しておいて損はないでしょう。

ですが地球温暖化を促進する可能性がある以上、あまり称賛される道ではないかもしれない。

そう考えるとMHの研究開発を将来の目標とするのは躊躇われました。

しかしMHを調べていく過程で、ある分野の研究開発がどうあるべきか、研究者視点だけでなく官僚視点からの意見を知ることができたのは棚ぼたでした。

新規産業だからこそ、こういう知見も得られるのかも。

 

話は逸れますが、僕がエネルギー問題について調べているときと同時期に、経済学にハマっていました。

そこで行き着いたのは「ウォール街の物理学者」っていう本。

これについては以下の記事で紹介しました。

arbmugyou.hatenablog.com

 

この本を通して僕は、物理学が金融つまり経済学に応用されている、噛み砕いて言えばある学問が全く別の学問領域に適応しているのが面白いと感じました。

いや、そんな例色々あるのは知ってますよ笑

でも応用可能性がある分野はそれだけ学問領域も広がるので非常に魅力的ですよね。

 

そこで物理学への興味が湧いたので予備校近くの本屋で色んな本を見た時に、ある本が目に止まりました。

その本のタイトルは「太陽を創った少年」

www.hayakawa-online.co.jp

この本の主人公であるテイラー・ウィルソンは、14歳にして自宅のガレージで核融合実験に成功した天才少年。

彼を長年取材したジャーナリストが書いたこのサイエンスノンフィクションは、天才がどのような成長、思考、行動の軌跡を描いたか、そしてどのような家庭環境から生まれたかの例を示し、多くの示唆に富んでいます。

 

これを読んで教育に対する興味が再熱しました。

以前から人の能力的な成長について考えていて、それは自分の欠点の裏返しなんですが、専門にしようとは思わないけど考えるのが純粋に楽しいです(^O^)

 

とまあそれは置いといて、この本に載っていた熱核融合について非常に興味を持ちました。

ここで核融合について高校レベルの物理で簡単に説明します。(てかそれ以上の説明はムリ)

 

文字通り、核融合核分裂とは反対の現象です。

核分裂反応ではお馴染みのウランやプルトニウムといった、重くて不安定な原子が分裂して、原子が持っていたエネルギーが放出されます。

アインシュタインが発見したE=mc^2、つまり質量欠損によって生み出されるエネルギーですね。

ここでの質量差は結合エネルギーです。受験物理をやってる人なら馴染みのある話。

 

これを利用したのが原子力発電。

一般的に使われるのは質量数235のウランです。

なお自然界での存在比はかなり小さいので、ウラン鉱石を濃縮する必要があります。イエローケーキっていう名前は知っていても良いのかも。

これに中性子をぶつけることによって確率的に核分裂反応が起こり、それによって新たな中性子が放出され、それが周りのウランにぶつかって…と、連鎖反応が続きます。

つまり「出力エネルギー(核分裂反応によって生み出されるエネルギー)が入力エネルギー(中性子をウランにぶつけるのに必要なエネルギー)を上回っている」という、エネルギー源としての最低条件を満たしています。

 

ちなみにエネルギー源として満たすべき最低条件は2つ。

  1. 出力エネルギーが入力エネルギーより高いこと。
  2. 燃料が豊富に存在すること。

当然の話ですね。

電気を作るのにそれ以上の電力を必要とするなんて本末転倒だし、燃料が少なければ持続的に電力を生み出せません。

 

ウランを使った原子力発電はこれらの条件を満たしています。

しかし核分裂反応自体、そして放出される複数の中性子がどのウランと衝突するかは確率的なので、エネルギーの出力を調整するのが難しいです。

もし間違えれば指数関数的に反応が進み大惨事に繋がります。

これを利用した最たる例が原子爆弾

また福島の原発事故によって改めて気付かされた、放射性廃棄物の処理問題や致死レベルの放射線が放出される大惨事が起こりうることは、日本人である以上忘れられないです。

 

一方で核融合反応も質量欠損によってエネルギーを得ています。

比較的軽くて安定な元素の原子2個(重水素三重水素)を結合させて、エネルギーを発生させます。

例えば太陽などの恒星は自己増殖的な熱核融合炉です。

太陽では強い重力と極端に高い圧力、そして高い中心核の温度によって、大量の水素がプラズマ状態にある太陽の中心核に引き込まれて、そこで激しく衝突しあっています。

つまり核融合炉を作ることは、地球上に擬似的な太陽を創ることと同義です。

 

ここで面白いか分からない話を1つ。

核融合核分裂、どちらも発熱反応です。

でも全ての原子が核融合によってor核分裂によって発熱するわけではありません。

だからそれぞれに適した元素があるのです。

 

では、一体どの元素が核融合によって発熱するのか。

自然界のプロセス、つまり恒星の中心では鉄より小さい質量数の元素の核融合反応は発熱反応、それ以上は吸熱反応になります。

というのも、鉄の原子核が最も安定しているからです。

つまり宇宙の始めは水素やヘリウムばかりでも、それらが集まって多くのプロセスを経て核融合を起こし、やがて恒星と鉄までの色々な元素ができました。

 

しかしそれ以上の反応は起こらず、鉄以上の質量数の元素は生成されません。

そうなるとただ恒星の中心に鉄原子が溜まっていくだけ。

それで重さが限界に達すると中心核が崩壊し、その反動で恒星は大爆発します。

これが超新星爆発

このとき生じる膨大なエネルギーによって普通の恒星内部の核融合では生成されない鉄よりも重い元素が誕生します。

今僕たちの身の回りには鉄より重い元素なんてありふれていますが、それは気の遠くなるような長い年月をかけた物理現象によって生み出されているわけですね。

 

話を戻します。

核融合発電はエネルギー生産の聖杯とされています。

  1. 化石燃料核分裂反応による発電とは違って、汚染物質や長く残存する放射性廃棄物が少ない。
  2. 致死レベルの放射線が放出される大惨事の恐れが低い。安全性が高い。
  3. 燃料がいっぱいある。
  4. 気候変動の原因となる物質を排出しない。

これらの多くの長所があり、まさに完璧なエネルギー源だと言えるでしょう。

 

もちろん核融合炉の壁は中性子を絶えず照射されることによって放射能を帯びますが、これは低レベル放射性廃棄物で、原子力発電による放射性廃棄物とは放射性崩壊によって安全なレベルになるまでの時間が天と地ほどの差があります。

前者は数百年、後者は数万年です。

 

燃料となる重水素は海水中にほぼ無尽蔵に存在し、リチウムは豊富にあります。

現在最も早く実用化されると期待されている核融合反応では、放出されるエネルギーが同じ質量のウランによる核分裂反応の4.5倍、石炭を燃焼させた場合の8000万倍にまで達します。

この膨大なエネルギーを用いて水素爆弾ができました。

原子爆弾を起爆装置に使っているので、核兵器の集大成とも言えます。

核分裂核融合核分裂の順番で反応が進み、その威力は実践のレベルを超えてしまいました。

 

しかも核融合反応の生成物はヘリウムなので、気候変動の原因にもならない。

加えて核分裂反応ほど制御が難しくない。

美味しいところがありすぎですね笑

 

残念ながら地球上では一度として、核融合によって電力として使用する実用的なエネルギーを生産できずにいます。

もちろん核融合反応を起こしてエネルギーを放出させるのは、個人レベルでも可能です。

問題なのが、実用的なエネルギー源にできるかどうか。

先程エネルギー源として満たすべき最低条件を2つ示しました。

  1. 出力エネルギーが入力エネルギーより高いこと。
  2. 燃料が豊富に存在すること。

この1がネックなんです。

 

まず水素の原子核はプラスに帯電しているので、互いに反発します。

原子核が融合するには、衝突エネルギーがこの電磁気的な斥力に打ち勝たなくてはなりません。

太陽では強い重力と極端に高い圧力、そして高い中心核の温度によって核融合の条件が整っていますが、地球上で同じことをするにはそれよりも遥かに大きいエネルギーが必要となります。

 

しかも開発資金が膨張する傾向にあります。

例えば「国際熱核融合実験炉(ITER)」を欧州連合アメリカ、日本、ロシア、中国、韓国、インドが負担しながら建設が勧められています。

操業開始はもうすぐだとか。

成功すれば新時代の幕開け、失敗すれば200億ドル吹っ飛ぶだけです。

日本では、このITER計画の次世代炉を三菱重工東芝と共同で研究し、2035年頃の建設を予定しているそうです。

他にも旧7帝大を中心として有名大学を含めた研究機関が日本各地に点在しています。

 

……とまぁ長く語ってしまいました(-_-;)

この本を読んで物理を目指そうと今は考えていますが、まだまだ興味が湧いた程度に過ぎないです。

核融合はたまたまマイブームだったエネルギー問題と環境問題の両方と関連があったというだけ。

物理の分野で面白いのは核物理だけではないので、これからもっと物理の面白さを知ることができるといいなと思っています。

 

 

 

余談ですが、この熱核融合炉については以前扱った「魔法科高校の劣等生」の主人公も実現に向けて"作品内で"頑張っています。

裏返せばフィクションで用いられるほど、実現可能性が低い、しかし夢のような可能性を秘めた技術ってことですね。

でも徐々に現実味を帯び始めている。

これはこれで、その主人公も思わずニッコリでしょう(^o^)